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9月は寝耳に水が2度起きた。福田康夫前首相の辞任と、小泉純一郎元首相の引退だ。72歳と66歳、まだ十分頑張れる年配なのに。

 小泉と同年生まれ、民主党の小沢一郎代表が3度目の寝耳に水を起こす気配もある。東京12区への国替え説はうわさになりすぎたからもう寝耳ではないが、ほかの何か。

 その小沢は、麻生新政権発足の感想を求められて、

 「どなたがなっても中身は変わらない」

 とそっけなく答えた。街頭で一市民がつぶやくならそれでもいいが、まもなく天下分け目の戦いを仕掛ける敵将の批評として、話にならない。

 この生活不安のなか、国民は新首相の言動をじっと見詰めている。民主党支持者も同じだ。小沢に麻生観がないはずはなく、それを率直に語らなければ政治にならない。言葉不足は小沢の悪い癖だ。

 ところで、人事の手際を見ていると、新首相の性格や姿勢がおぼろげながら浮き出てくる。腑(ふ)に落ちないことがいくつかあった。

 一つは、森喜朗元首相に幹事長就任を要請し、断られた一件だ。森が、

 「晩節を汚したくない」

 と言ったのは当然で、総理・総裁経験者が幹事長に降格、などという発想は自民党でなくても、ない。

 麻生は本気で<森幹事長>を考えたのだろうか。選挙に勝ち抜くには、森起用が不可欠と判断したのだろうか。そうだとすれば、麻生の人事感覚に首をかしげる。

 あるいは、断られるのを承知で声をかけたのかもしれない。リップサービスかほかの思惑か。それでは先輩に対する礼を欠く。

 もう一つは、外交経験の少ない参院議員の中曽根弘文を外相の要職に据えた異色人事だ。中曽根が参院の麻生票を集めた論功、という報道がほとんどだったが、それだけなら外相でなくてもいい。

 参院からの外相は76年末、福田赳夫政権の発足で、鳩山威一郎を起用して以来32年ぶりである。鳩山は大蔵事務次官OBで、やはり外交には縁がなかった。

 ではなぜか、について、福田は晩年に著した「回顧九十年」(95年刊・岩波書店)に書いている。

 <私は内閣のスタート当初から、日中平和友好条約の締結を実現しなければならないと考えていた。あのころ、中ソが対立関係にあり、日中が条約締結で友好関係を強化することが、ソ連を刺激するのは困る。

 そこで、ソ連が「親ソ的な人物」として評価していた鳩山一郎氏の長男の威一郎氏を起用し、条約締結はソ連との敵対関係を生み出すことを意図するものではない、というサインをソ連に送ったわけだ>

 と。功を奏したかどうかわからないが、一郎による日ソ復交に着眼した戦略人事だった。

 中曽根についても、外交通の自民党議員がこう言う。

 「それは中曽根ブランドの活用に決まってる。麻生は中韓はじめ外の評判がよくない。その点、中曽根の父上(康弘元首相)は中韓などの評価が高いだけでなく、どの国の首脳も『ナカソネ』を知ってるから。

 新外相はどこに行っても『ああ、ご子息』で通るし、『ご尊父はお元気で』で会話が始まる。麻生はそこに目をつけたんでしょうな」

 戦後の首脳外交で手腕を発揮した吉田茂と中曽根康弘。2人の肌合いは違うが、その3世首相が2世外相を従える。ブランド好みの麻生らしい知恵なのか。





無限のリヴァイス
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引退表明までサプライズ(驚き)で締め括(くく)るとは、いかにも小泉純一郎元首相らしい引き際だった。「小泉引退」は、与野党を問わず、政界に大きな衝撃を与えた。ことに平成17年の郵政選挙で、小泉人気を追い風として当選した「小泉チルドレン」らへの影響は必至だが、政界の世代交代を促進し、日本の政治潮流を変えるきっかけになりうる決断としては評価したい。

 小泉氏は首相在任時の平成15年10月、産経新聞とのインタビューで「私自身は、(引退は)65歳をめどにしている。その後はゆっくりとさせてほしい」と語っている。政治的思惑は当然あるだろうが、66歳になった小泉氏にとっては、かねての計画を実行に移しただけともいえる。

 自民党出身の首相経験者が古希(70歳)を前に自らの意志で引退生活に入るのは、小泉氏が昭和30年の結党以来初めてのケースになる。多くの首相OBは、退任後も衆院に長らく議席を占め、岸信介、田中角栄両氏らは隠然たる影響力を保持し続けた。現在も6人(小泉氏を含む)の首相OBが現役の衆院議員を務めている。

 議院内閣制の先輩である英国では、事情は異なる。ブレア前首相は、首相退陣と同時に議員も辞め、サッチャー元首相も退任2年後に下院議員を引退している。

 英国での政権の寿命の長さに比べ、日本では、過去20年間の政権の平均寿命は1年半にも満たない。これでは、首相を務めても完全燃焼できず、身体の許す限り議員活動を続けたくなるのだろう。日本には年長者の経験や知恵を大事にしようという空気も強い。

 しかし、そうした傾向が政界の新陳代謝を遅らせ、長老議員による談合によって重要な決定がなされがちな日本的政治風土の素地となっている。こうした中、小泉氏が、政治的影響力を持つ「首相OB」議員の座を自ら放棄した意味は決して小さくない。

 国会議員の定年制導入は難しい課題だ。しかし、一人一人の国会議員が小泉氏の決断を良き先例として参考にすることは可能だ。

 ただ、残念だったのは、小泉氏が自らの後継者に次男を指名したことだ。「古い自民党をぶっ壊す」という言葉がウソでないならば、息子に選挙地盤を譲る世襲を断ち切り、別の選挙区で出馬させるのがスジだ。画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く、とはまさにこのことである。


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 麻生内閣発足時の支持率は福田内閣以下-。こんな衝撃的な実態が、主要マスコミ各社が行った世論調査で浮き彫りになった。ほとんどの調査結果が、昨年9月の福田内閣発足時を下回る40%台の低水準の支持率となったのだ。このため党内では「微妙な数字だ。早期の総選挙は既定路線だが、すぐに選挙戦はどうか」(ベテラン議員)という声も出ており、低い内閣支持率が総選挙の日程にも影響を与えそうだ。

 主要マスコミ各社の世論調査では麻生内閣支持率が48%(朝日新聞)、45%(毎日新聞)、49.5%(読売新聞)、48.6%(共同通信)で軒並み40%台と低水準だった。支持率が過半数に達したのは53%の日経新聞だけで、政権投げ出しの福田政権発足時よりも6-12ポイントも低くなった。


 その一方で政党支持率や投票行動などについては、自民党が民主党を上回るなど変化も出た。


 政党支持率では、読売で自民が37.4%と、民主の22.8%に15ポイントの大差をつけた。さらに毎日では自民41%、民主37%で、昨年8月の調査から13回目の質問で初めて自民党が上回った。


 次期衆院選比例代表での投票行動調査でも、朝日が自民36%(前回28%)、民主32%(前回32%)と逆転。「(総選挙で)どちらに勝って欲しいか」という毎日調査では、自民41%(前回31%)、民主37%(前回46%)と自民が大きく数字を伸ばした。


 さらに、麻生首相と民主党の小沢一郎代表の「どちらが首相にふさわしいか」との質問では、共同調査で麻生氏が53.9%と、小沢氏の29.4%をリード。主要各紙も同様の大差で、党首としての魅力は麻生氏に軍配があがっているようだ。


 こうした世論調査について、河村建夫官房長官は25日の記者会見で、「(支持率は)上がってくるのではないかと期待しているが、麻生を選ぶのか、小沢を選ぶのかという戦略を立てているので、その方向で進むべきだろうと思っている」と述べた。


 麻生内閣は、政権放り出しの福田内閣の支持率を超えることができるのか。



24日付の韓国紙、東亜日報によると、北朝鮮の金正日総書記(66)の健康悪化説が流れるなか、米情報機関は北朝鮮の権力継承について、代理人政治や集団指導体制といったシナリオを想定し、金総書記の義弟の張成沢・党中央委員会行政部長(62)が重要な役割を果たすと分析している。

 同紙はワシントンとソウルの消息筋の話として、米情報機関は金総書記の健康状態について、(1)精神的障害はないが、身体的な障害がある場合(2)無力化状態(意識不明)が長期化する場合(3)死亡する場合-の3パターンに分けて、それぞれの権力継承シナリオを分析したと伝えている。米情報機関はこの分析内容を駐米韓国大使館を通じて、韓国の大統領府や国家情報院などに伝えたという。

 情報筋は「米情報機関はまず身体的障害のみの場合、金総書記の妹婿である張氏と、実質的に夫人の役割を果たしている金玉(キム・オク)国防委員会課長を『代理人』として、間接統治するとみられる」と話したという。

 また無力化状態が長期化する場合、金総書記が生存している限り、「代理人」が統治に対する正当性と権限を主張することができないことから、権力継承手続きが複雑になり、混乱も予想されるとした。

 金総書記が死亡した場合は、北朝鮮の統治構造は集団指導体制になる可能性が高く、軍事指導部と密接な関係を保っている張氏が最も重要な役割を果たすと分析している。



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自民党総裁選は22日、投開票され、麻生太郎幹事長(68)が有効投票の約7割を獲得する圧勝で、第23代総裁に選出された。麻生氏はただちに党役員人事を行い、幹事長に細田博之幹事長代理の昇格を決めたほか、笹川尭総務会長、保利耕輔政調会長、古賀誠選挙対策委員長、大島理森国会対策委員長を再任した。内閣の要である官房長官には、河村建夫元文部科学相の起用が固まった。  麻生氏は地方票141票のうち134票を獲得、議員票も6割弱を得て、1回目の投票で総裁就任を決めた。  官房長官への就任が固まった河村氏は、伊吹派所属で当選6回。文教畑を歩み、現在は党広報本部長。一方、政府の事務方トップの二橋正弘官房副長官は麻生氏に対し、退任の意向を伝えた。党役員人事では、幹事長代理を2人置くことにし、総裁選で戦った石原伸晃元政調会長と、林幹雄国家公安委員長を起用した。  自公両党の幹事長、政調会長は22日夜、東京都内で協議し、総合経済対策の着実な実行や「米国発の金融不安への適切な対応」などを盛り込んだ「連立政権合意案」をまとめた。23日の自公党首会談で正式合意する。麻生氏が抜本的見直しを打ち出した後期高齢者医療制度については、改善を打ち出すが、具体的な内容は明記しない方向だ。道路特定財源の09年度からの一般財源化や消費者庁関連法案の成立なども確認する。  麻生氏は24日の首相指名選挙で首相に指名され、同日中に新内閣を発足させる。29日に所信表明演説、10月1~3日に代表質問の予定だ。  麻生氏は22日の記者会見で「年末の資金繰りなどに頭を抱える中小零細企業など一般の生活を考えると、(民主党が)補正予算の成立を阻止して反対するというのは常識的には考えにくい」と述べ、臨時国会での補正予算成立に意欲を示した。自民、公明両党は10月3日に衆院を解散し、14日公示、26日投開票の日程で総選挙の準備を進めてきた。だが、野党が補正予算案審議に応じた場合、総選挙の投開票が11月2日か9日にずれこむ可能性も出てきた。  麻生氏は就任会見で、後期高齢者医療制度の見直しに取り組む考えを改めて表明。消費税率も、少なくとも3年間は据え置く考えを強調した。 ロードヒーティング 泥棒日記 愛情|知恵|情熱
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