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福田康夫首相の「女房役」である町村信孝官房長官が、内閣改造で留任する方向となった。2人の不仲や連携不足は公然の事実で、更迭確実とみられていただけに、周囲からは「官房長官を代えないのはサプライズだ」(自民ベテラン議員)との声も。福田首相が町村氏と“離婚”できない理由とは-。

 福田首相は31日夜、町村氏を公邸に呼び、1時間40分にわたって1日の内閣改造に伴う組閣本部設置の段取りなどをひざを交えて話し合った。こうしたやりとりを取材したテレビ各社が同日夜、「町村氏、留任強まる」と相次いで報道した。

 政府関係者は留任報道について、「そんなことしたら(留任が)つぶれるんだよ。福田さんが一番嫌がることだ。つぶしたい新聞はそうやって書くんだろうけど」と不満を述べたが、明らかに留任を意識した発言。加熱するマスコミ報道を“規制する”ような動きまで見せた。

 そもそも、官房長官ポストをめぐっては、森喜朗元首相が1月上旬、福田首相に電話をかけて内閣改造を打診したところ、首相は「やるとすれば、町村官房長官を代える」と述べ、後任に腹心である衛藤征士郎元防衛庁長官をあげたという。

 さらに、与謝野馨前官房長官も、日銀総裁人事が二度も民主党に拒否された今春、「首相が携帯片手に『誰が良いのか悪いのか』と電話しているのはかわいそうだ。官邸や執行部が条件整備、下地作りをしないといけないが、意を尽くしていない」といい、調整能力に乏しい町村氏の“さげまん”ぶりをこき下ろすなど、長官更迭は既定路線とみられていた。

 それにもかかわらず、町村氏が留任の方向となった理由について、永田町事情通はこう解説する。

 「そもそも、首相の出身派閥である町村派では昨秋、町村氏の官房長官就任に伴って、町村氏と中川秀直元幹事長、谷川秀善氏の代表世話人3人による集団指導体制に移行し、事実上、中川氏が仕切っている」

 「町村氏が無役となり派閥に戻れば、中川氏との跡目争いが勃発(ぼっぱつ)するのは必至。中川氏を閣内に入れて町村氏を派閥に戻す案も浮上したが、中川氏には過去の醜聞があり、官邸サイドが決断できなかったようだ」

 町村氏が当選8回に対し、福田首相は6回。官僚出身でプライドの高い町村氏にとって、首相の下で汗を流すポストは苦手といっていい。だが、あまり公言できない理由で、今後も“仮面夫婦”を続けていきそうだ。
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